
早わかり遺言と遺産分割

相続人
1.相続人とは
相続人とは、相続開始とともに被相続人の財産上の地位を承継する人をいいます。相続人は法定相続人に限られ、遺言による指定相続人は認められていません。
民法では、相続は遺言相続が前提とされており、無遺言相続を補完する制度として法定相続が規定されています。
法定相続人は配偶者相続人と血縁者相続人の2系統に分けられており、親族関係の全くない他人が相続人となることはありません。
血縁相続人は第1順位に子(直系卑属)、第2順位に直系尊属、第3順位に兄弟姉妹と定められており、それぞれ複数いるときは同順位で相続します。(民886条〜890条)。配偶者がいないときは血縁相続人の各順位の者だけが、血縁相続人のいないときは、配偶者1人が相続人となります。
2.配偶者
配偶者は法律上の配偶者に限られ、内縁配偶者は含まれません。
3.子(直系卑属)
法律上の子であるかぎり、嫡出・非嫡出子間に順位の差はありません。養子は養親に対しても、実親に対しても他の子と同様に相続人となります。子には順位の差はありません。
※)代襲相続
子が死亡、相続欠格、廃除により相続人となれないときは、子の子、同様にして子の孫等直系卑属が子に代わって相続人となります。これを代襲相続といいます。
4.直系尊属
親等の異なる直系尊属がいるときは親等の近い者が先順位となります。
5.兄弟姉妹
男女、長幼、養実、異父母、摘出、非摘出を問わず同順位で相続人となります。
6.胎児
胎児は、相続については、既に生まれたものとみなされます。
ただし、死産の場合は適用されません。 (民886条)
7.推定相続人の廃除
遺留分を有する推定相続人(相続が開始した場合に相続人となるべき者をいいます。以下同じ)が、被相続人に対して虐待をし、若しくはこれに重大な侮辱を加えたとき、又は推定相続人にその他の著しい非行があったときは、被相続人は、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求することができます。 (民892条)
8.相続欠格
民法は、廃除よりもさらに重大な非行事由を定め、推定相続人がこれに該当する行為を行った場合は、法律上当然に法定相続人の資格を失わせる相続欠格制度を設けています。(民891条)
9.相続の単純承認
被相続人が死亡して相続が開始すると、被相続人に属していた財産は相続人に承継される結果、遺産は相続人に帰属することとなります。
相続人は、単純承認をするための何らの行為も必要とされず、限定承認や放棄をしない限り当然に単純承認となります。(民921条)
10.相続の限定承認
相続人が、相続によって得た財産の限度においてのみ被相続人の債務及び遺贈を弁済すべきことを留保して、相続の承認をする方法です。(民922条)
遺産の中に債務が含まれ、トータルでプラスかマイナスか不明確な場合にメリットがありますが、3ヶ月以内に相続財産の目録を作成して家庭裁判所に提出しなければならないなど、管理や手続き(民922〜937条)が煩雑なため、あまり利用されていないようです。
11.相続の放棄
相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3箇月以内に、家庭裁判所に申述することによって、相続の放棄をすることができます(民915条民938条)。


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